We all learned a lot from UTMF/STY and Mother Nature.
現地で通訳ボランティアやってる最中にふと思ったんですよ。
ボランティア経験すると、自分が出るレースへの態度が変わるんじゃないかと。
特にレースを作ってる人々への。
ITRAポイントなどのレースポイントも大事ですが、ボランティア経験ポイントってあってもいいんじゃないかなと。そのポイントの有無が人気レースエントリーの「優先権」になるとか。
例えばスリーピークス八ヶ岳は、ボラ経験者のエントリー優遇を実践してます*1が、そういうものが拡がると、オーガナイザーや各スタッフ、ボランティアなど関係者に悪態つく人も減るし、それだけでなく、なんというか、トレランナーとして成長するような気がします。 あくまでも、UTMF/STYボラ中の感傷的な私見ですが。
ということをfacebookのトレランコミュニティに書くと、「優先権のためにボランティアやる人が増えて、本来の意味の“ボランティア”ではないじゃないか!ボランティアは無償でしょう?」と怒られてしまいましたけれども、他の方もおっしゃってましたが、「やらないよりやるほうがいい」と思いますので、無償・有償関係なく、大会にボランティアとして参加することは非常に大きな経験になると思います。
僕はスリーピークス八ヶ岳の場合は、2015は23km/2016は38kmを走らせていただきまして、2年に渡り大会のホスピタリティと”ゲストスタッフ”たちの温かいサポートを見てきました。彼らが「次年度の参加優先権を得られるから」としてボラ活動をしているとは全く思えません。むしろ何らかの形でこの大会に関わりたいと思っている人たちだったんじゃないでしょうか。例えば私の場合、2年に渡って走らせていただいたので、恩返しのつもりで2017は”ゲストスタッフ”側に回らせていただきたいと思ってるぐらいです。
いや、ほんとボランティアというか、裏方を知る機会を得ることはいいと思います。
ご存知の人もいるかもしれませんが、女子のプロゴルフ界では、プロテストに合格すると、大会において裏方業務をすることが義務付けられており、それが女子プロゴルフ界を変えたと言われてます。特に礼儀やスポンサー/試合の来場者への態度が変わったと。もちろんこの女子プロゴルフ界の活動を「ボランティア」とは言えません、義務付けられてますから。しかし、「本来のボランティア精神」とは、インセンティブや義務の有無ではなく、奉仕する側に回ってみることにあると思います。「なんらかのインセンティブをつけること自体がボランタリーではないじゃないか」という意見もわかりまが、それすら「ボランティア」という行為によって個々人が得られるかもしれないことからすると、どうでもいい話じゃないかと。
もっとも言いたいのは、
「選手の誰もが裏方を経験してみてもいいんじゃないの?」
↓
「裏方を知ってる選手は、マナー他においても高い確率でいい選手になるんじゃないの?」
↓
「そういう‘’いい選手‘’が増えることは大会にとってもよいことなんじゃないの?」
↓
「だったら、ボラ経験の選手がレースに増える方策として、ボラ経験すると出場優先権を与えるという手はもしかすると有効なのでは?」
という理屈です。
なので、本来の言葉の意味としての「ボランティア」なのかどうか、という議論ははっきり言ってどうでもいい。「ボランティア」という言葉が気に入らなければ別の言葉を選んでもいいわけです(世の中には「有償ボランティア」という言葉もある)。
ちなみに幾つかの English dictionaries で volunteer の意味を改めて調べましたが、「無償で何かをする」という理解は正しくないということを再認識しました。本来の volunteer の意味は「自ら)進んで(誰かのために)何かをする」です。この「自ら)進んで(誰かのために)何かをする」という意味こそが本来的なこの語の意味だから、例えば Cambrige Dic.にあるように "without being forced or paid to do it" 強いられてやるものでない、あるいは、報酬のためにやるものではない、という追記的な説明がなされているのでしょう。
スリーピークス八ヶ岳などは、敢えてだと思うのですが「翌年の優先権は必ずしも保証されないけど、あるかもしんない」というウマい書き方で”ゲストスタッフ”集めていてよく考えられてるなと思います(それでも常に人が足りないと聞きますが)。
三日間通訳ボランティアとして現地にいましたが、その活動で得たものについてまとめると、以下のようになります。
UTMF/STYのボランティア活動は「タダ働き・無償」ではなかった。
— 高広伯彦 Nori Takahiro (@mediologic) 2016年9月25日
あの規模の大会の裏方に回って体験できる数々のこと、そこで新たな人と知り合えること、久しぶりの顔に会うことなど、得られる「報酬」は多い。金銭の価値以上。
選手として参加する機会がある人は、ぜひボランティアとして、サポートスタッフとしても参加する機会を作ることをおすすめします。
(写真はUTMF公式facebookページから拝借。閉会式に参加したボランティアたちの集合写真)
ちなみにUTMF/STYのボランティア数は1500人です。
そしてここから先はおまけですが、UTMFがいかに大変な状況で作られてるのかを知るために、以下の本をお読みになることも合わせておすすめいたします。
*1:同大会では「ボランティア」という言葉の孕む無償の奉仕という意味合いを避けると考えてのことか「ゲストスタッフ」という呼び方をしています